住宅ローン減税制度は、住宅を購入する個人が住宅ローンを借り入れた際に、税額控除を受けられる制度です。
この制度は、消費税増税により8%から10%になった際に期間が延長されました。しかし、2022年からは制度が改正され、内容も変わりました。
この記事では、これから住宅購入を検討されている方に向けて、改めて住宅ローン減税についての仕組みについてご紹介致します。また、どのように制度が変わったのか、いつ住宅を購入するのが良いかについてもご紹介致します。
住宅ローン減税は、所得税(住民税)が得!
住宅ローン減税について、全くもって初心者の方にわかりやすく簡単に説明いたします。
住宅ローン減税制度は、「所得税(住民税)が、お得になる制度」です。つまり、住宅ローンを組むことによって、手取り収入が増えるということです。
住宅ローンを組む際に、金利がかかりますが、その金利分を実質無料(もしくは金利以上の返還)にすることで、住宅購入を促し、経済を活性化させようとするのが、住宅ローン減税制度です。
(例)4000万円の住宅ローン借入
・年収600万円の場合 所得税 約20万円・住民税 約31万円
住宅ローン残高の1%は、40万円になります。つまり、所得税20万円から40万円を引き、所得税は0円になります。また、住民税 約31万円から、20万円(所得税から引ききれなかった分)を引いて、住民税は11万円になります。
つまり、所得税・住民税で合計約51万円を年間支払う必要がありましたが、11万円のみの支払いで、40万円お得になったということです。
・年収800万円の場合 所得税 約50万円・住民税 約47万円
住宅ローン残高の1%は、40万円になります。つまり、所得税50万円から40万円を引き、所得税は10万円になります。住民税から引く分はないので、所得税・住民税で合計97万円支払う必要がありましたが、57万円のみの支払いで、40万円お得になったということです。
2022年から住宅ローン減税制度は改正されます
2022年から住宅ローン減税制度は、改正されて内容が変更となります。
もともと住宅ローンの金利が1%を切っており0.6%などでした。減税制度を活用すると、その差分の金額がお得になり、住宅ローンの借入を行った方が現金で購入するよりも得になるという状態になっていました。
この状態を解消するための制度変更であり、現金購入もしくは住宅ローン借入どちらでも出費があまり変わらないようになります。
*現在、住宅ローン減税を受けている方は、従来の制度内容が引き継がれます。2022年からの改正内容が適用になることはありません。
変更点について、5つに分けてご紹介致します。
変更点①控除率1.0%→0.7%
一番大きい変更点がこちらになります。控除率が1.0%から0.7%に引き下げになります。3000万円の住宅ローン借入に対して、約21万円の控除を受けられるということです。新築・中古住宅共通の数字になります。
控除率が下がったことで、税額控除の恩恵も当然ですが少なくなります。ただ、変動型住宅ローン金利は0.5%前後となっています。そのため、住宅ローンを借りても金利分は住宅ローン減税でおおよそ戻ってくるため、お得な制度であることに変わりありません。
変更点②控除期間10年→13年
新築住宅の住宅ローン控除期間が、基本10年から13年に変更されました。中古住宅の場合には10年になります。(2019年には、消費税増税緩和のため、住宅ローン減税制度は13年になっていたため、あまり大きな変更ではありません)
2024年からは、環境性能が高い住宅以外は、10年間の適用になるため注意が必要です。
変更点③制度の期間延長(2025年まで)
住宅ローン減税制度は、2022年から2025年まで新たな内容で適用されます。本来は2021年で終了予定であったため、期間が延長したことは喜ばしいことです。住宅購入を検討されている方は、なるべくこの制度があるうちに購入した方が良いでしょう。
変更点④借入に対する適用上限額変更
住宅ローン控除は、借入に対する適用上限額が設定されています。2022年からの変更により、住宅性能によって、細かく上限額が設定されました。例えば適用上限額とは、借入額が5000万円でも、適用上限額が3000万円であれば、3000万円分の借入にしか住宅ローン控除が適用されないということです。
[2022年、2023年適用] *()内は2021年までの上限額認定住宅 5000万円 (5000)
ZEH 4500万円 (4000)
省エネ基準 4000万円 (4000)
その他住宅 3000万円 (4000) [2024年、2025年適用] 認定住宅 4500万円
ZEH 3500万円
省エネ基準 3000万円
その他住宅 0円 *2023年までに新築建築確認がされている場合2000万円
*中古住宅は、省エネ基準以上で3000万円、その他住宅2000万円の上限となっています。
2022・2023年においては、ZEH基準の住宅が優遇されており、その他は変更されていません。注意が必要なのは、2024・2025年で上限が大きく引き下げられており、基準に満たない一般住宅は住宅ローン減税制度の適用がされないということです。
変更点④所得要件:3000万円→2000万円
所得が高すぎると、住宅ローン減税は適用されません。2022年からは、年間所得2000万円以下に変更となっています。
変更点⑤床面積・築年数の要件緩和
住宅の床面積は40㎡以上から、住宅ローン減税が適用されます。ただし、2023年までに建築確認をした住宅が対象となっています。
中古住宅においては、築年数の要件が細かく設定されていました。これが2022年からの制度では、1982年以降に建設されたものは適用されるようになり、大きく要件が緩和されました。
結局、いつまでに住宅を買えば良い?2023年までがお得!
住宅ローン減税制度の内容変更に伴い、一番恩恵を受けることができるのは、2023年までとなりました。2024年以降は、さらに住宅ローン借入に対する適用上限額が下がってしまいます。
しかし、2024年以降は絶対に損になる!という訳ではありません。
住宅ローン借入に対する適用上限額以下の住宅を購入する場合は、2024年以降も得られる恩恵は変わりません。控除率は0.7%で2025年まで一律であり、適用上限額以下であれば、控除額も変わらないためです。