親の土地に家を建てる!知っておきたい税金のお話

親の土地に家を建てる場合に、税金の知識無しで建ててしまった場合、知らないうちに多額の損をしてしまうことがあります。

贈与税、相続税だけでなく、不動産取得税所得税もかかることがあります。

せっかく親が土地を余らせていて、そこに家を建てさせてくれるというのであれば、その土地を利用したいですよね。そこで、余計な費用がかからないように、それぞれの方法と税金について知っておきましょう。

親の土地に家を建てる場合の、知っておきたい税金の話をまとめました。また、建物は自費で、住宅ローンを借り入れる際の注意点についてもご紹介いたします。

課税5パターン(親の土地に家を建てる)

親の土地に家を建てる際、課税には大きく分けて5パターンあります。

1.親から土地を無償で借りる
2.親から土地を有償で借りる
3.親から土地をタダでもらう
4.親から土地を格安で購入する
5.親の土地に二世帯住宅を建てる

税金がかからない方法は、「親から土地を無償で借りる」パターンです。土地を無償で借りるのは親に悪いと考えて、少額でも支払ってしまうと税金がかかります。それぞれ詳しくご説明いたします。

1.親から無償で土地を借りる(税金がかからない一番おすすめの方法)

親から無償で土地を借りるという方法が、税金もかからず、一般的に行われているものです。

権利金や地代を支払わない「使用貸借契約(無償使用契約)」と言います。

タダで土地を借りているから、何か税金がかかるのではないの?と思われるかもしれませんが、実は税金はかかりません。そのため、この方法で親の土地に家を建てるのが一般的です。

しかし、親の土地を全くのタダで借りることは悪いのでは?と気が引けてしまう方もいらっしゃいます。そのような場合には、せめて固定資産税だけ支払うこともできます。

固定資産税だけを支払った場合には、後述するどのパターンにも当てはまらず、無償で借りた場合と同様に税金を余計な税金を支払う必要はありません。

また当然ですが、親が亡くなってから相続する際には、相続税がかかることは念頭に入れておきましょう。

2.親から土地を有償で借りる

親から土地を有償で借りる場合、権利金と地代(簡単には、相場金額)を支払うと、親は所得税を支払う必要があります。

親にとっては、土地を貸すことで収入を得たことになりますので、確定申告を行い所得税を納めます。そのため、親子間での貸し借りにも関わらず、税金を余分に支払うことになるため注意が必要です。

また、この場合の収入を貯蓄しておき、将来子供に相続する場合には、その金額に対しても相続税がかかり、所得税と相続税の2つの税金がかかってしまいます。

地代だけ(簡単には、相場金額より低い)を支払うと、相場より安くなった金額が「贈与」とみなされ、贈与税がかかります。

したがって、親から土地を有償で借りることは、税金面で非常に不利であることがわかります。前述したように、固定資産税のみを支払うのであれば、贈与税の対象にならないです。少額でも親に支払いをしたい場合には、固定資産税分のみにしましょう。

3.親から土地をタダでもらう

親から土地をタダでもらうと、その土地の金額に応じて「贈与税」がかかります。

また、その土地を取得したことにより「不動産取得税」もかかります。土地は子の所有になるため、「固定資産税」等もかかるようになります。

相続時精算課税制度で節税が可能

相続時精算課税制度は、生前贈与において2500万円の特別控除がされるというものです。

つまり、2500万円までの贈与には贈与税がかかりません。

例えば、3000万円の贈与を行なった場合には、3000-2500 = 500万円にだけ贈与税が課されるということです。

しかし、歴年贈与(年間贈与額110万円まで課税されない)と併用はできません。一度、相続時精算課税制度を選択した場合には、「今年は歴年贈与を適用する」などはできないことに注意しましょう。

相続時精算課税制度の条件
60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子もしくは孫への贈与であること。

相続時精算課税制度のメリット
土地の評価額が上がった場合、節税効果が高いです。例えば、贈与時の評価額が2000万円、相続時の評価額が5000万円である土地があったとします。相続時精算課税制度を使えば、2000万円の贈与とみなされますが、相続時に贈与となった場合は5000万円のものを渡したことになります。つまり、同じものであっても差額の3000万円分低い評価がされ、税金も安くなります。

4.親から土地を格安で購入

親から土地を格安で購入すると、相場との差額が「贈与」とみなされます。

つまり、相場3000万円するものを、1000万円で贈与した場合には、2000万円分を贈与したとされます。2000万円に贈与税がかかることになります。
また、親にも「譲渡所得税」がかかることになります。

何も知らずに良かれと思って、親が子に安く土地を譲ったとしても、税金という思わぬ出費がかかることに注意しましょう。

5.親の土地に二世帯住宅を建てる

親の土地に二世帯住宅を建てる場合には、贈与税がかかることはありません。土地は親の所有のままで、建物は親と子の共有名義になることが多いです。

相続時のメリットとして、「小規模宅地等の特例」(相続税評価額を330㎡まで80%減額)が適用できることがあります。親の土地に二世帯住宅を建てる際には、この制度が使えるのか細かい条件をチェックしておきましょう。

住宅ローンの注意点(親の土地に家を建てた場合)

親の土地に家を建てる際に、住宅ローンを使って家を建てる方も多いです。一般的には、住宅ローンを借りる際には、土地と建物の両方を担保にします。親の土地の場合は、住宅ローンはどのようになるでしょうか?

抵当権の設定に土地も含まれる

住宅ローンを組む際に、金融機関が抵当権を設定し、親の土地も含めることがほとんどです。建物と土地をセットで担保に入れることになります。

つまり、親の土地が他のローンの担保として設定されていると、住宅ローンを借りることが難しくなることもありますので注意しましょう。

親が連帯保証人になる可能性がある

土地の所有者は親であるため、親を連帯保証人にする必要がある場合もあります。連帯保証人になると、借入をした子が返済しない場合には、親が返済する必要があります。

家を建てた後に、土地の名義変更はできない

家を建ててから、親の名義となっている土地を、子の名義に変更することはできません。住宅ローンを完済してからであれば、名義変更は可能です。